非平衡緩和法は、臨界温度や臨界指数を数値評価する効率の良い方法であり、特にフラストレーションやランダム系では平衡化の困難が現れないので有効に働く。評価法の特性から、系統的な数値計算を必要とする臨界普遍性の解析に適している。 本年度は、これまで数値評価が難しかったランダム系の臨界普遍性について、Harris基準(規則系の比熱の指数との関係)と対応させた3つの模型(3次元±J Ising模型、2次元±J Ising模型、3次元ゲージグラス模型)について、相図と臨界指数を数値評価し、臨界普遍性の様子を明らかにした。Harris基準による対応関係の正しさを数値的に明快に示すことに成功した。 また、KT転移を起こす2次元ゲージグラス模型についても同様の解析を行い、これまで一般に信じられていた静的指数と動的指数の関係と逆転した臨界指数の振舞いを見出すことに成功した。
|