研究概要 |
高信頼性、高操作性の原子操作用紫外波長域レーザー光源として,外部共振器型半導体レーザーの設計を実施した。制御対象となるYb原子の遷移波長にマッチした発振波長を持つNichia製紫色半導体レーザーを購入し,回折格子で波長選択的に光フィードバックを行う方法により,スペクトル幅を狭窄化すると同時に発振波長チューナビリティを向上させる構造を採用した。発振波長の粗調は光軸に対する回折格子の設置角度で行い,Yb原子遷移波長への微調整は回折格子に接着した圧電素子に出夏を印加して共振器長を制御することを通じて実現する。外部共振器型半導体レーザーの発振周波数を長期に安定化するフィードバック機構を検討し,PI制御に基づくフィードバック用電子回路を製作した。レーザー駆動用電源,レーザーチップ温度安定化装置,紫外波長域用コリメーティングレンズなど,外部共振器型半導体レーザーを組み上げるうえで必要な物品はほぼ用意できたので,来年度以降製作に取り組み,基本的な性能評価を実施する予定である。 また,原子ビーム発生系も整備した。特に温度の均一性が優れた原子オーブン(Kセル)を新たに導入し,従来よりも高効率かつ再現性良くYb原子線を発生させることができるようになった。 これらは,今後本研究課題を着実に進展させるための基礎となる技術であり,その意味で本年度の研究は順調な成果を挙げたと言うことができる。
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