まず、論理qubitの物理的な駆動法について、状態準備から訂正操作までを調べた。即ち、論理qubitの時間発展と、それをデコヒーレンスから防ぐための量子エラー訂正操作をqubit間の自然な相互作用で駆動する方法を理論的に解析した。訂正操作には補助qubitが必要で、これらにノイズがある場合でも正しく訂正できるために、補助qubitの状態を適切に準備する必要があり、それもqubit間の自然な相互作用で駆動する。訂正に必要となる補助qubitを全て考慮したので、訂正操作を含めた論理qubitの時間発展の一連の流れを全て解明できた。 次に、論理キュービットを駆動する際のジッターの解析を行った。論理qubitを駆動し、同時に量子エラー訂正操作を行うと、特定のタイミングで1 qubitへの特定の操作を行う必要がある。1 qubitへの特定の操作とは、補助qubitを局所測定したり、検知したビットエラーを訂正するためにビットフリップを作用させる等の操作である。これらの操作のタイミングが想定した時刻からずれてしまう(ジッター)場合を考え、どの程度のジッターなら許されるかを解析した。 これらの成果については、学会発表を行い、現在、論文を執筆中である。 また、強い外場で駆動される非平衡定常状態の、揺らぎや、弱い外場に対する応答関数に、物質の個性に依らない普遍的な性質が潜んでいることを発見した。たとえば、線形応答関数を周波数に関して積分すると、被測定量と外場が結合する量との交換関係で決まる値になる、等である。この成果については、学会発表と論文発表を行った。
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