研究課題/領域番号 |
19540419
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
宮本 修治 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (90135757)
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研究分担者 |
天野 壯 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (50271200)
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キーワード | 量子ビーム / ガンマ線 / コンプトン散乱 / 陽電子 / 中性子 / 164-Ho / 光核反応 / 核変換 |
研究概要 |
1.低エネルギー・高フラックスγ線発生の最適化[論文掲載予定:天野(NIMA)] 平成19年度準備した、波長10.6μmのCO_2レーザをもちいて、1.7-4MeVのγ線フラックスの最大化をおこなった。レーザパワーと散乱点近傍での電子ビーム特性を考慮して発生γ線フラックスの評価を行い、実測値と比較し、計算評価と一致することを確認した。規格化したガンマ線発生率は、コリメーターなしで、7300γ/s/mA/Wであり、電子電流と、入射レーザーパワーに比例しており、現在市販されている30kWの炭酸ガスレーザーを用いれば、10^11γ/sのガンマ線フラックスが可能と計算される。 2.γ線偏極度の測定[論文:宮本(レーザー研究2008)] CO_2レーザコンプトン散乱により発生したガンマ線を、直径3mmの鉛コリメーターを通すことにより、単色で高い偏極率を持った1.7MeVガンマ線を取り出し、その特性を測定した。直線偏光のガンマ線は、ガンマ線照射ターゲットからのコンプトン散乱強度の角度分布を測定することで、ガンマ線のへん極度を評価し、>90%の偏極度測定結果が得られている。今後、磁気コンプトン散乱を用いて、円偏光に関しても計測する。上記1.と合わせて、1MeVを越えるガンマ線源としては、他に無い特性(高いフラックス、準単色、偏光ガンマ線)を持つ光源が建設できたことを示している。 3.光核反応中性子計測 16MeV近傍のガンマ線(入射レーザー波長1μm)を用いて、光核反応により中性子が発生する。電子蓄積リングの特性を生かして、パルス約60ピコ秒の単バンチ電子を用いることにより、高い時間分解能の中性子飛行時間分光計測が出来ることを実証した。さらに中性子検出器の厚さを薄くすることで、時間分解能を改善出来ることを実証した。 4.ポジトロンビーム発生最適化[論文:Dazhi Li (APL2009)] コリメートしたガンマ線(16MeV)を鉛薄板標的に照射することで、後方に生成する電子対を磁場で分離して計測した。電子、陽電子のエネルギーピークは約8MeVで、分離した陽電子は陽電子ラジオグラフィー等に使用可能である。標的厚さに対する陽電子収量を計測し、シミュレーションと合わせて、最適化できることを示した。 5.光核反応放射化による164-Hoの半減期測定[論文:T.Hayakawa(PRC2008)] レーザーコンプトン散乱ガンマ線(17MeV)の核物理利用研究として実施した。光核反応励起による高効率なアイソマー励起により、その寿命を従来より高精度で測定でき、164-Hoのアイソマー(140keV)の半減期を34.7分と確定した。
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