(1) 中性子飛行時間計測法による光核反応中性子発生分布の入射ガンマ線の偏極度依存性計測 ニュースバル放射光施設の電子蓄積リングを単バンチで運転することで、高精度な中性子飛行時間計測が可能となっている。この計測では、光核反応と同時に、標的からのコンプトン散乱ガンマ線や、核共鳴散乱ガンマ線も計測されている。このシステムを用いて、光核反応中性子の、ガンマ線偏向依存性を測定した。特性の良い偏光ガンマ線源が他にないため、従来にない高精度なデータを短時間で測定できるシステムを構築できた。この手法で、軽核、中重核、重核の中性子分布を測定することで、核廃棄物処理のための基礎データを取得できるだけでなく、宇宙での元素合成シミュレーションに必用な、高精度核反応データの取得を可能とした。 (2) 核共鳴散乱計測ガンマ線照射ターゲットからのコンプトン散乱ガンマ線を計測して核種を同定する手法は、核共鳴散乱法と呼ばれ、同位体の非破壊リモート検査の手法として、セキュリティ分野や、核燃料物質管理の計測に用いることができる。今年度は、核共鳴散乱のガンマ線偏向依存性を評価した。 (3) ポジトロン計測と利用準単色17MeVガンマ線による、陽電子発生とそのスペクトルは既に計測できている。発今年度はこの陽電子を、微小欠陥の非破壊検査に用いる試験を行った。引き続き、計測データを蓄積する必用がある。 (4) ガンマ線照射実験の実験空間拡張のための遮蔽検討(物理学会講演) ガンマ線照射実験の実験空間の拡張を想定して、放射線漏洩を細小にする、実験エリア構成とその放射線遮蔽評価を行った。今後ガンマ線源の拡張を行う。
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