研究課題/領域番号 |
19540427
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 正明 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10253395)
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研究分担者 |
藤井 紀子 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90199290)
安中 雅彦 九州大学, 理学研究院, 教授 (40282446)
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キーワード | タンパク質 / クリスタリン / 高次構造 / 中性子 / 小角散乱 / 紫外線照射 / 異常凝集 |
研究概要 |
タンパク質における高次会合体形成気候を調べるために、ほぼ同じ1次構造を持つαAクリスタリンとαBクリスタリンを試料としてその会合構造の研究を行った。円2色性分光測定により、両者ともβシートリッチな2次構造を有していることと、中性子小角散乱測定よりほぼ等しいサイズ(慣性半径=60Å)・形状(回転楕円形)をしていることが明らかになった。次に、温度変化・紫外線照射による構造変化の測定を行った。その結果、外部刺激による異常会合体(=大規模会合体)の形成という視点で見ると、αAクリスタリンは温度変化に対する耐性は弱いが紫外線照射に対する耐性は強く、αBクリスタリンは逆に温度変化に対する耐性は強いが紫外線照射に対する耐性は弱いことをはじめて明かにすることができた。このような、ほんのわずかな1次構造の違いにより、外部刺激による大規模会合体(異常凝集体)の形成能に大きな違いがあることを明かにしたのは、本研究が初めてであり大変意義深い。また、会合体形成機構において、1次構造の差異は問題にならなくても、その機能に大きな違いが発現することも示唆している。 実際の生体中のαクリスタリンは両者の複合体であることから、[αA]:[αB]=1:1での複合会合体を作成し、紫外線照射に対する構造応答の観測を中性子小角散乱法により行った。その結果、調製した複合会合体は紫外線照射に対して非常に高い耐性を示した。このことは、複合体を形成することで、両者の機能上の特性を併せ持っていることを示しており、大変興味深い。
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