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2009 年度 実績報告書

NMR分光法を用いてランダムコイル状態のタンパク質を残基レベルの分解能での解析

研究課題

研究課題/領域番号 19540431
研究機関関西学院大学

研究代表者

野田 康夫  関西学院大学, 理工学部, 教育技術主事 (40268511)

研究分担者 瀬川 新一  関西学院大学, 理工学部, 教授 (70103132)
キーワード生物物理 / タンパク質 / リゾチーム / 核磁気共鳴 / ジスルフィド結合 / ランダムコイル / 重水素交換 / ジメチルスルホキシド
研究概要

リゾチームの4本あるS-S結合を任意に欠損させてできる変異体をタンパク質の折りたたみ過程の中間体として位置づけ、その構造をNMR分光法によって研究している。リゾチームS-S結合欠損変異体はS-S結合を欠損させる本数、部位によって、その構造は大きく変化する。Cys6-Cys127(SS1)とCys30-Cys115(SS2)を残した2SS(1+2)変異体は立体構造を保持しているが、Cys64-Cys80(SS3)とCys76-Cys94(SS4)を残した2SS(3+4)変異体と、Cys6-Cys127(SS1)とCys64-Cys80(SS3)を残した2SS(1+3)変異体は立体構造を保持しないランダムコイル状態である。また、タンパク質の秩序構造を安定化させるグリセロール存在下で2SS(1+3)変異体は秩序構造を回復し、2SS(3+4)変異体は秩序構造を回復しない。つまり2SS変異体は立体構造を保持するかどうかの境界であり、2SS(1+3)変異体や2SS(3+4)変異体の持つ部分秩序構造が折りたたみ初期過程における重要部位であると考えられる。
30%グリセロール存在下で2SS(1+3)変異体の重水素交換反応から、各アミノ酸残基におけるProtection Factor(P.E.)をNMR分光法によって測定すると、A,B,Cヘリックスとβ3ストランド領域で1000程度まで上昇した。しかし2SS(3+4)変異体ではP.F.は10程度であった。さらに2SS(1+3)変異体においてグリセロールの各濃度でP.F.を測定し、その構造変化を追跡した。グリセロール濃度の上昇に伴い、野生型リゾチームの折りたたみの核を形成するA,B,Cヘリックスとβターン領域のP.F.値が顕著に増大することが示された。その領域はリゾチーム2SS変異体の秩序構造回復における「要」の部分に該当すると思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Glycerol-Induced Folding of Unstructured Disulfide-Deficient Lysozyme into a Native-Like Conformation.2009

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto, K.
    • 雑誌名

      Biopolymers 91

      ページ: 665-675

    • 査読あり
  • [学会発表] NMR分光法を用いたジスルフィド結合を欠損させたデンプン結合ドメインのリフォールディング中間体の構造解析2010

    • 著者名/発表者名
      杉本華幸
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス
    • 年月日
      2010-03-29
  • [学会発表] リゾチームのS-S結合欠損変異体における残留非ランダム構造2009

    • 著者名/発表者名
      笠井健一
    • 学会等名
      日本生物物理学会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      2009-10-30
  • [学会発表] モルテングロビュール段階で見出されるPCP(ピロリドンカルボキシルペプチダーゼ)の逐次折れたたみ経路とそれに続く天然構造への転移2009

    • 著者名/発表者名
      横田洋平
    • 学会等名
      日本生物物理学会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      2009-10-30
  • [学会発表] ジスルフィド結合を欠損させたデンプン結合ドメインのリフォールディング中間体のNMRによる解析2009

    • 著者名/発表者名
      杉本華幸
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2009-10-22
  • [学会発表] NMR法を用いたマウスリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素の熱変性中間体の解析2009

    • 著者名/発表者名
      宮本優也
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2009-10-22

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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