1. 原始惑星系円盤中のガス成分と固体成分(ダスト)の輸送を解く数値計算コードを改良し、それをもちいて円盤内の固体成分分布の進化を計算し、原始惑星系円盤の天文観測との比較をすすめた。その結果、ダストの付着成長にともなう中心星への落下速度の増大を考慮することで、観測から制約される円盤外縁部の固体成分面密度の動径分布を再現することに成功した。これにより、水星へ直接適用される円盤最内縁部への固体成分の輸送と組成について、数値的に解析を進める準備が整った。 2. 混合距離理論を用い、水星熱史に放射性核種の地殻濃集とマントル粘性率、コア中の軽元素濃度をパラメータとするパラメタスタディを進め、各パラメータに対する依存性を明らかにした。さらに流体力学計算による熱史計算に向けて、表面境界条件の検討を進めた。日射の時間・緯度変化を考慮した表面の熱収支モデルを構築し、これを数値的に解くことによって水星表面の長時間平均温度分布を求めた。この境界条件を与える流体数値計算コードの開発を進めつつある。 3. 中心核ダイナモの数値コードの開発を進め、水星ダイナモの駆動源として考えられる組成対流と熱対流のうち、まず熱対流によるダイナモの発生を想定した予備的な数値シミュレーションを行った。その結果、数値モデルが安定して動作することを確認し、また、核表面の力学的な境界条件の違いが核の対流運動ひいてはダイナモ作用のパターンに及ぼす影響について予備的に調べた。
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