通常の高速衝突実験では、飛翔体を加速し、より大きな標的に衝突させる。本研究の特徴は飛翔体前面に貼り付けたプライヤープレートを標的に見立て、これをより小さな多孔質小粒子に衝突させる点である。これにより通常の10万Gを越える加速に耐えられない物質でできた粒子がフライヤープレートという平面に衝突する際の現象(本研究では衝突閃光)を調べることができる。そのためにはフライヤープレート付飛翔体の安定した加速が不可欠である。また、飛翔体の状態を確認するための撮像、速度計測、計測機器の確実な動作も必須である。 平成19年度は、JAXA宇宙科学研究本部所有のフラッシュX線発生装置の調整を行い、また、X線フィルムに替えて新たにX線イメージングプレートを導入した。また、銃口に直付けできる磁気式飛翔体検出器を試作した。実際に、フライヤープレート付飛翔体をJAXA宇宙科学研究本部の二段式軽ガス銃で加速し、飛翔体検出器の信号によりフラッシュX線発生装置、オシロスコープにトリガをかけ、飛翔中の飛翔体のX線像の撮影に成功した。2点に設置した磁気式検出器で飛翔体速度の計測もできるようになった。JAXA宇宙科学研究本部の二段式軽ガス銃は平成20年度に新規のものと入れ替えられることになったが、これらの技術はそのまま新規の銃にも使うことができる。 以上の結果は、JAXA宇宙科学研究本部・二段式軽ガス銃を管理する組織の研究会であるスペースプラズマ研究会で発表された。
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