彗星から放出された米粒ほどの粒子は、地球大気に高速度で突入し流星として観測される。これらは月面にも衝突しており、近年、より大きなものの衝突が月面衝突閃光として観測されるようになった。衝突エネルギーの何%が可視光に変換されるか(変換効率)が分かれば、多くの月面衝突閃光の明るさの観測から、月面上での衝突頻度を衝突エネルギーの関数として知ることができる。その結果は科学的に重要なだけでなく、月面活動の安全性にとって貴重なデータとなろう。しかし、変換効率がどの位になるかはよく分かっていない。おそらく、衝突速度や物性、組成などによって変化するであろう。 我々は、変換効率が衝突体の空隙率に大きく依存するはずであると考えた。1次元衝突モデルによれば、同じ物質でも多孔質であれば衝突時により高温になり、より強い閃光を発することが期待されるからである。しかし、多孔質衝突体が強い閃光の原因になることは、技術的困難があったため実験的に確認されていない。我々は新しい実験方法を提唱し、多孔質衝突体によるより明るい衝突閃光を実験的に検証する。
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