四国から九州にかけてプレート境界の走向と沈み込み角度が急変し、豊後水道は異なる地殻変動様式を有する地域が隣り合う遷移地帯にあたる。この領域の地殻下部で7〜8年周期でスローイベントの発生が確認されているが、海域のため地殻変動観測点が不足している。ここに国土地理院GPS連続観測網を補間するGPS観測点を設置し、2007年10月より連続観測を開始した。いずれも太陽電池モジュールを用いた無停電観測システムで、国内外を問わず、いかなる場所へも応用が可能な小型システムの開発を志向している。当初は初年度に計5点を設置する予定だったが、自動データ収録システムの整備に手間取り、年度内に稼動したのは2点のみである。他の観測点の選点と必要機材の準備はすでに終了しており、次年度直ちに観測を開始する予定である。定常的な地殻変動速度を推定するために必要な長期のデータの取得と、スローイベントに同期した短期異常変動の検出の両方を目的とする。 観測と平行し、四国から九州にかけて形状が急変するプレート境界を表現するため、三角形要素の集合体を用いるモデル化に着手した。従来の矩形断層を用いる際に生じた断層面の重なりやギャップが解消された。また、短期異常変動の振幅は微小であると予想されるため、詳細な誤差要因分析と適切なフィルターの適用が必須である。これらの作業を開始した。 以上の作業は単年度で終了するものではなく、次年度以降も引き続き継続し、更なる発展を目指す。
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