研究概要 |
研究の初年度である平成19年度に,太陽電池モジュールとボックスPCを用いた無停電・自動ダウンロードGPS連続観測システムを作成し,豊後水道に面する2点(日振島,愛南町)において連続観測を開始した.この地域では,フィリピン海プレートの沈み込み角度と境界の走向が急変し,さらに,地殻下部で繰り返しスローイベントが発生している.本研究の観測の目的は,国土地理院GPS連続観測網の空間的稠密性を補うことと,スローイベントに同期した微小変動を直上のGPS観測によって検出することである.前年10月に開始した観測は概ね順調であったが,今年度の夏季を迎え,毎日定時のデータダウンロードをコントロールするタイムスイッチの熱的耐久性が不足していることが判明し,結果として長期間の欠測を余儀なくされた.対策として,太陽電池モジュールを追加し器材の収納容器に取り付けたファンを常時稼動させることで,容器内の温度上昇を抑制した.また,従来は30秒サンプリングでGPSデータを取得していたが,今年度よりサンプリングを1秒に変更し,高時間分解能の解析を行える準備を整えた. 観測と平行し,蓄積データの半自動解析を行うシェルの整備,1秒データを用いた観測点近傍の受信環境の評価,同じく適切なフィルターの設計と適用,形状が急変するプレート境界を表現するための三角形要素集合体によるモデル化等を行った.これらの作業は今年度で終了するものではなく,次年度も引き続き継続し,更なる発展を目指す.
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