研究課題
本研究課題では、東アジア域に特化した衛星データ解析から対流圏オゾンの挙動を調べた。また、二酸化窒素(NO_2)や一酸化炭素(CO)の観測データや大気化学モデルによる計算結果を援用し、人為起源のオゾン前駆物質の影響を検討した。1)衛星で観測された対流圏オゾンの検証解析WOUDC(World Ozone and Ultraviolet Radiation Data Centre)および気象庁の観測したオゾンゾンデデータを用いて、対流圏オゾン気柱量を観測した3種類の衛星データを詳細に検証し、その信頼性を確認した(Noguchi et al., 2007)。2)GOME(Global 0zone Monitoring Experiment)で観測された対流圏オゾン気柱量の季節変化の解析検証解析で信頼性を確認した上で、GOMEで観測された対流圏オゾン気柱量データをさらに詳しく解析した。グローバルに見ると、人間活動が盛んな北半球中緯度で夏季の高濃度が顕著であった。これは対流圏内での光化学生成過程が夏季に卓越しているためだと考えられる。また東アジア中緯度に着目すると、中国の風下側で高濃度のオゾン気柱量が観測された。低緯度ではタイでバイオマス燃焼が盛んに起こる1-2月に対流圏オゾンの増加が観測された。これらの対流圏オゾン気柱量の挙動は日本におけるオゾンゾンデ観測の結果と非常によく一致した。3)オゾンゾンデで観測された対流圏オゾンの動態解析ゾンデで観測されたオゾンの鉛直プロファイルに対して、高度別に後方流跡線解析を行い、空気塊の起源を分類した上で、オゾン濃度の時系列を調べた。その結果1970年代から90年代にかけてのオゾン濃度増加は顕著であったが、それ以降は横ばいであった。4)二酸化窒素の衛星データ解析GOMEで観測された対流圏二酸化窒素(NO_2)気柱量の時空間分布を調べた。中国中心部において年々の増加傾向が明らかで、モデルの結果ともよく一致した(Uno et al., 2007)。また、地表測定局のNO_2混合比データと比較したところ、季節変化の様子が整合的であることが示された。
すべて 2007 その他
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SOLA 3
ページ: 41-44
Atmos. Chem. Phys. 7
ページ: 1671-1681
http://www.ics.nara-wu.ac.jp/lab/ozonegroup/index.html