研究概要 |
2スケールの雨滴粒径分布(DSD)変動確率過程を,1次元Non-Gaussian状態空間モデルの方法に従って解析するプログラムは平成19年度に開発したが,平成20年度には,そのプログラムを用いて,世界各地(インド,スマトラ,シンガポール,日本,パラオ)の2スケールDSDパラメータ(log_<10>N_0^*)を自動推定することに成功した.これらのデータは1年以上の長期に渡るもので,統計的にも信頼性が高い.その結果を統計処理し,各地のlog_<10>N_0^*のヒストグラム,平均値の季節変化を明らかにした.またこのようにして推定した2スケールDSDモデルを用いた降雨強度推定精度の向上を確認した.このデータは,TRMM降雨レーダによる降雨強度推定アルゴリズムのデータベースとしても活用できる.上記の1次元状態空間モデルによるDSDパラメータ推定を更に発展させるため,レーダ反射因子(Z)対降雨強度(R)関係のステップ状変化をトラッキングできる2次元状態空間モデルのプログラムを開発中である.また,スマトラに設置した大気レーダなどを用いてDSDパラメータを推定するプログラムを開発中であり,シミュレーションによるその有効性の確認は実施済みである.更に,衛星搭載降雨レーダによる2スケール雨滴粒径分布パラメータ推定を感度よく行うためのアダプティブ走査方式の改良を行い,TRMMレーダデータを用いたシミュレーションにより有効性を確認した.
|