研究概要 |
長期再解析データとして広く用いられるヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の15年再解析(ERA15),45年再解析(ERA40)、米国気候予報センター(NCEP)再解析、日本の再解析(JRA25)を用いて、アジア地域の水循環の気候要素を計算し、相互比較を行った。広域的な水収支的検証は、シベリア地域で行うこととし、初期成果の発表を平成20年度開催の学会で発表する申請を行ったところである。 再解析データの、地表面フラックスや降水量の比較検証は、平成19年度以前から行っていたが、本研究補助金を使用した研究実績として、11研究発表に示すように、複数の査読付論文が受理された。またいくつかの国際会議において口頭発表、招待講演を行うこととなった。さらには、日本気象学会誌「天気」の創立125周年解説記事に、水循環・降水をテーマとして執筆を依頼され、本研究成果を一部含む解説記事を執筆した。 また、再解析データと併用する降水量データの作成や山岳地域の水循環解析精度向上のための、衛星データや同位体を利用した研究も、着実に進めることが出来、国内外の学会等で成果公表と情報収集に努めている。 サイエンス的側面では、トルコ・中国乾燥地域のほかにも、インドの半乾燥地域の水循環の経年変動成分に自然変動成分と人間活動の影響とみられる成分を見出すことができた。これらについても論文を投稿中(一部は印刷中)である。 今後は長期的な変動成分(20年〜40年間の変動)の解析を、より細かい分解能のデータを利用して行う予定である。
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