研究概要 |
1.電離圏擾乱観測の継続実施 HFドップラ(HFD)法による電離圏擾乱の多地点連続観測を良好に継続実施し,6観測局データをインターネットを介して観測網主局の東京・調布へ自動的に収集,蓄積した。素データとその時系列クイックルック画像は,ホームページ(http://ssro.uec.ac.jp/lab_tomi/HFD/HFD.html/)上で公開している。 2.中規模擾乱の構造パラメータの導出 同一伝搬路におけるHFD観測データと到来電波方向探知観測データを融合して中規模擾乱の構造パラーメータ(変動周期,変動の水平波長,水平伝搬方向,探査電波の反射高度変動を指標とした擾乱の変動振幅)を演繹するアルゴリズムを開発し,観測網中の茨城・大洗局でのデータに適用することでその妥当性を検証した。2002年12月〜2004年8月の期間のデータに基づけば,得られた擾乱構造パラメータの地方時依存性は,例えばHernandez-Pajares達(2006)が米国GPS受信局網を利用して得た中規模電離圏擾乱の特性と非常に良い一致をみている。今回開発したアルゴリズムによって擾乱の変動振幅を推定することが可能になったことは,意義あることである。 3.非線形波動共鳴現象の検出 HFD観測で得られる擾乱データを用いて,中規模大気重力波の範疇に入るスペクトル領域をターゲットとして,バイスペクトル解析の手法により非線形波動共鳴現象の検出を試みた。波動共鳴と思われる多くの事例を得ることができ,次年度以降の特性解析への準備の一部を終えることができた。
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