研究課題
(1)太陽風速度の距離依存性の解析電波の弱散乱の状況(0.3AU以遠)で観測された太陽地球環境研究所(STEL)のデータから太陽風速度の緯度・経度分布をトモグラフィー法で求め、その分布図を基に、三次元太陽風中を天体電波源からの視線が通るEISCAT観測のジオメトリーをシミュレートして、太陽近傍(0.3AU以内)における太陽風速度を推測するプログラムを開発した。このプログラムを用いた解析例はまだ少ないが、これまで言われていたような波動やランダム速度分布の大きな影響を太陽風流中に加えなくとも、速度分布を適切に調整することにより太陽近傍のEISCAT観測が概ね再現できる可能性が出てきた。しかし、最終結論を得るには次年度において解析数を増やす必要がある。(2)太陽風加速を決めるコロナ物理量の解析前太陽活動極小期の観測から得た加速モデルでは、光球面磁場強度Bとコロナ中の太陽風流管拡大率fの比(B/f)と惑星間空間における太陽風速度Vとが極めて良い線形の相関があるが、今サイクルにも適用できる普遍的モデルであるかを調べるために、STELの装置を用いたIPS観測を行い、太陽活動極小期である2007年の太陽風データを収集した。また、高緯度におけるB/fの詳細な解析を行った所、一様な構造をしていると思われたコロナホール中に、Bおよびfの揺らぎがあり、その変動が互いに逆フェーズのためにB/f値は変動を互いに消し合いコロナホール中では一様分布をなし、その結果速度も太陽極軌道探査機ULYSSESの観測した一様かつわずかに緯度依存性のあるものとなることが解明された。これは、太陽観測衛星「ひので」が、極域コロナホール中に発見したジェット現象や強磁場領域の局在等の観測結果と関係する可能性があり今後の重要な研究課題である。
すべて 2007
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