本年度は以下の点の研究を行った。(1)太陽プラージュ域のジェット現象の詳細解析を実施した。これは太陽観測衛星「ひので」と飛騨天文台との共同観測を基にしたものであり、これまでは存在しないと思われていたプラージュ域スピキュールジェットを初めて観測的に確認できた。その動きは静穏領域と同様に下層から伝播してきた衝撃波によるものであることを明らかにした。この成果は日本惑星科学連合大会ほかで口頭発表した。現在この成果を欧文学術雑誌に投稿するため準備している。(2) 黒点暗部微細構造の電磁流体力学的特質を「ひので」および飛騨天文台観測データを用いて前年度に引き続いて解析した。その結果、磁場と対流現象の相関から黒点内部の微細対流構造の詳細を観測的に確定することに成功した。この成果は、欧文学術雑誌Ap.Jで印刷中である。また、この現象の統計的解析も実施し、成果をAp.Jに投稿予定である。(3)活動領域内小規模ジェット現象であるエラーマンボムの研究については、前年度の成果をまとめ、その形態学的な特徴の新解釈、および磁気リコネクションが起源であることの観測的確認を行うことに成功して、それぞれ学術雑誌に印刷された。(4)太陽の縁で観測されるジェット現象であるスピキュールを飛騨天文台での観測から分光学的に解析し、プラズマの温度、ミクロな乱流速度を定めることに成功した。さらに観測事実を説明するためにはマクロな乱流成分が寄与していることを世界で初めて提案した。この結果は学術雑誌に投稿中である。このマクロ乱流の起源は未だ解明されていないため、今年度継続研究の予定である。
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