PIC法による電磁粒子プラズマシミュレーションコードを用い、電流層中のテアリング不安定の結果生じる最小波長の磁気島が複数個発生できる空間規模の計算を行った。テアリング不安定によって複数の磁気島が発生した場合、テアリング不安定に引き続き磁気島の融合不安定を通してMHDスケールへ急速に発達していくことが予想できるが、融合不安定を粒子シミュレーションで扱うことはこれまでに例を見なかった。 平成19年度には2次元計算により磁気島16個までの融合不安定のシミュレーション計算を行った。その結果、シミュレーションシステムの最大波長まで成長する時間スケールは概ね初期磁気島の個数に比例することがわかった。初期磁気島の個数が8個や16個のケースでは、それより少ない個数の場合には2段階であったのに対して、3段階の融合プロセスをへて1つの大きな磁気島に成長する様子が明らかになったが、より大きなシミュレーション計算領域で長波長側の自由度が大きくなった場合の融合の時間スケールが変化するかどうかは、現時点では不明である。 磁気島が合体して大きなスケールに移行するにつれて大きな電子加速が発生することを発見した。粒子軌道の詳細な解析をおこなった結果、トランジェントに発生する大きなリコネクション電場によるX-Iine近傍での加速が最終的なエネルギースペクトルを決めていることがわかった。さらに、より大きな系へ移行した後には磁気島融合領域におけるX-line近傍での電子加速の寄与が無視できないことが明らかになった。磁気島融合に伴う電子加速過程が、磁気リコネクションに伴う電子加速現象に大きく寄与している可能性を示す重要な結果である。
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