平成19・20年度に続き、日本列島の骨格をなす年代学的に古い岩体について、その起源を明らかにすべく野外調査および採取試料の解析を継続して行った。特に年代学的な研究がなされているにも関わらず、そのデータの乏しさと、結果的に形成年代の特定ができていない熊本県山鹿地域の苦鉄質・超苦鉄質岩体について重点的に解析した。その試料から得られた489Ma(4億8900万年)の年代学的成果については学会(鉱物科学会2009年大会(札幌開催))や研究集会(変成岩などシンポジウム(広島宮島開催))にて発表し、相応の学術的反応や評価と今後の研究の展望につながる意見を得るに至った。また、岩石および構成鉱物の化学組成も並行して求めており、その分析結からも、岩石の起源を考察する上で重要な結果が得られている。最終年度である平成22年度には、山鹿地域の苦鉄質・超苦鉄質岩体について補足的な調査を行うとともに、分析・解析を進め、成果公表に努める。 また、本研究を遂行する際に得られた分析手法と技術を応用することで、大陸からの物質移動に関する雑誌論文(Miyamoto et al. Geochim. Cosmochim. Acta(2010))を公表することができた。過去から現在にかけての大陸から日本への物質移動の一形態に関する内容で、今後の本課題研究にも少なからず影響を与えることが予想される。
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