研究概要 |
本研究は,実験水路で形成させた河川堆積物を高周波電磁波反射法によって非破壊で解析する手法を開発し,そこから得られた3次元断面を野外露頭で観察できる河川堆積物の層相および形態(河川堆積相)の解析に適用するものである.具体的には,数GHzの中心周波数を持つ高周波のレーダを用いてcmオーダーで実験堆積物の構造を把握する. 本年度は主にモニタリングに適した実験堆積物生成の試行実験をおこなった.比較的走査のしやすい大きな構造としてフォーセット構造を生成してモニタリングテストをしたところ,作った堆積構造のマーカーへの感度はあったが層厚がアンテナの分解能よりもやや薄かった.この解決には,実験材料の粒度または材質をかえ,同時にアンテナの周波数をあげることが今後の検討として残された. 同時に,この研究でその形成過程を明らかにしようとしている河川堆積物ほかの組成について検討をおこなった.対象としたのは,白亜系手取層群桑島層,完新統沖ノ島遺跡と下総層群木下層である.白亜系手取層群桑島層は河川氾濫原の中にいくつか異なるタイプの化石密集層が認められる.完新統沖ノ島遺跡は河川の河口域の氾濫堆積物にやはり特徴的な遺跡堆積物を含む.下総層群木下層は海成層だが,その中の潮汐三角州堆積物に特徴な構造をもつ化石層が存在する.これらはいずれも氾濫などの高エネルギーの堆積物であり,また,特異的な堆積物を包含するものである.このような特異的な堆積物が本研究で解析する手法の上でもっとも検出しやすい.したがって,これらのその詳細な堆積物組成の解析を同時におこなった.
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