研究概要 |
本研究目的は,電磁波反射法による実験堆積物の高分解能非破壊解析の可能性をさぐるもので,数GHzの中心周波数を持つ高周波のレーダを用いてcmオーダーで実験堆積物の構造を非破壊で把握し,繰り返し測定による堆積構造の形成過程の可視化を行う.このようなレーダーアンテナを平面実験水路に設置し実験堆積物の3次元断面のモニタリング手法を開発し,この手法を応用して河川堆積物の形成過程を解明するものである. 当該年度は,平面水路の設計・製作を行い,蛇行河川形成実験と実験堆積物のレーダーモニタリングをおこなった. 1.平面水路における流路変遷:実験は長さ3.6m×幅0.9m×高さ0.3mの可変勾配型平面水路,実験材料として園芸用土を用いて流量,勾配,供砂の変化させたrunを行った.いずれのrunも流路変化の特徴から流域を3つのセグメントに分けることができた.流量の増加と勾配の増加にもとづくそれぞれの流路変化を比較すると,流量増加では曲率の増加と流路幅の増加がみられた.勾配増加では曲率の増加はより顕著で,谷深の増加がみられた.また,流量と勾配を一定にして供砂をおこなうと,中流域に中州が形成されることによって網状流路が現れた,したがって,供砂は平面形状の変化をより強くもたらした. 2.電磁反射法による流路の3次元解析:平面水路で供砂をおこなった実験の流路変遷が,どのように走査できるかを調べた.すなわち,幅約6-10cm程度,深さ約3-12cm,蛇行流路の基底に砂鉄をしき,供砂をおこないながら流路変化を観察した.実験終了後,上面に残った地形が隠れるよう平に水路全体を砂で覆い,走査を行った.結果としては,深度間隔として5cm程度の面は判別が可能であり,初期の流路や段丘面が認識された.
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