研究概要 |
大陸地殻の脆性-塑性遷移付近における細粒長石の変形挙動を明らかにするため,天然断層岩中の細粒長石の解析と,細粒長石焼結体を出発物質とした変形実験を行った.天然断層岩の細粒斜長石は定向配列を持たず,また転位と再結晶の痕跡が見られる.実験試料には夏に用意した試料と冬に用意した試料があり,前者は均質な変形,後者は著しい変形集中を示した.前者の力学的性質と,結晶方位分布,転位と再結晶の痕跡から,天然の断層岩の細粒長石の変形を再現できた可能性が高い.本研究で得られた変形挙動の違いの原因を含め,今後脆性-塑性遷移付近における細粒長石の変形挙動を明らかにするには,試料中の水分量を制御した焼結体の合成技術が必要と考えられる.
|