研究課題/領域番号 |
19540488
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
町山 栄章 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, サブリーダー (00344284)
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研究分担者 |
徐 垣 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 所長 (90183847)
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キーワード | メタンハイドレート / 地質学 / 地球化学 / 海洋探査 / 深海環境 / メタン湧水 / 国際情報交換 / 台湾 |
研究概要 |
本研究で対象とする試料・データは、平成19年3月16日〜23日に台湾南西沖海域にて実施された調査(5日間にわたる無人探査機による潜航調査と海底地形・構造探査)で得られたものである。悪海況のために十分な調査と試料採取が行えなかったが、南シナ海大陸斜面に位置するFormosa Ridge(水深1150m)にて3潜航調査を行い、炭酸塩岩や水試料等の底質試料を採取し、分析等を実施した。 Formosa Ridgeは海底谷による浸食によって形成されており、音波探査の結果から堆積層はほぼ水平であり、海底下400〜500ms(往復走時)に明瞭なBSRが認められ、メタンハイドレートの胚胎が推定されるとともにガスの胚胎も確認された。リッジ頂部にはメタンガス噴出を伴うメタン湧水域が分布し、沖縄トラフ域の熱水噴出孔生物群集と同様な生物群集がメタン湧水域に存在する事を世界で初めて発見した。この湧水域直下には海底下のガス胚胎層が確認されており、ここからメタンガスを含む流体が移動しているものと考えられる。 自生炭酸塩岩は、メタン湧水域に広範に分布しており、ペイブメントとして海底表層を覆うとともに、数mの塊状として産する。炭酸塩はミクライト・脈状セメントとして産し、-55%。VPDB・4%。VPDB前後の、炭素・酸素同位体比を示す。また、炭酸塩のウラン年代は5.5万〜9万年であり、主にこの時期に活発に形成されたと予想される。 噴出するメタンガスの炭素同位体比は-70パーミル前後であり、微生物起源のメタンである事がわかった。湧出域付近の底層水中のメタン濃度は700nL/L、堆積物の溶存硫化物濃度は20mMに達する高濃度である。また、ガス中の硫化水素濃度は250ppmを超える高濃度であり、これらが特異な化学合成生物群集を支えているものと推定される。
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