研究概要 |
分担者の琉球大学の竹村明洋,および海外共同研究者であるノルウェーオスロ大学のBjorklund教授とともに2回の調査で計5回の琉球大学(沖縄ステーション)でのサンプリングを行った. 当初の計画に示したように,放散虫Polycystineaについて,宿主の放散虫だけではなく共生体(寄生体・共生体)数種の18S rDNAの解析に成功した.これらを基に,真核生物全体の中でのそれらの系統上の位置や,共生体の獲得が単なる偶然によるものなのか,それとも世代を超えて受け継がれたものなのかといった寄生や共生の成立についての新しいデータを得ることができた.すでに公表した高緯度(ノルウェーのソグネフィヨルド)のデータと合わせて,それぞれの地域の放散虫の共生の多様性や遺伝子の差異についての検討を行なったところ,共生体はホストに対して種特異的な分布はしておらず,逆にホストは,その環境において種特異的な共生体を獲得していることがわかった.これについては引き続き検討を行う予定である. また,採取した放散虫の飼育実験から,放散虫のリプロダクションを観察し,そのピコサイズの遊走子の18S rDNA解析に成功した.これは当初の計画にはなかったことだが,Lopez-Garcia et al.(2001)などで,ピコサイズの環境サンプル中の遺伝子ライブラリになぜ放散虫の遺伝子が数多く混じっているのかという疑問に,ある答えを出すことができたものと考える. [研究協力者]Professor Kjell R. Bjorklund(Natural History Museum, University of Oslo)
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