• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

海底洞窟生微小二枚貝の酸素同位体比から探る過去7,000年間の黒潮の動態

研究課題

研究課題/領域番号 19540492
研究機関静岡大学

研究代表者

北村 晃寿  静岡大学, 理学部, 准教授 (20260581)

研究分担者 入野 智久  北海道大学, 地球環境科学研究科, 助教 (70332476)
キーワード海底洞窟 / サンゴ礁 / 微小二枚貝 / 完新世 / 気候・環境変動
研究概要

平成19年度に沖縄県伊江島沖の海底洞窟「大洞窟」から長さ233cmの堆積物コア試料を採取した.この試料の基底から産した二枚貝の放射炭素年代は暦年代で7,160±100年前を示す.今年度は本コアから160個体の微小二枚貝Carditella iejimensisのδ^<18>O値を測定した.その結果,沖縄サンゴ礁海域の水深30mの海洋環境は,少なくとも5,000年間は現在とほぼ同じだったが,7,000年前から5,000年前までの期間に,0.5‰以上の高い値を示す個体が100年に1回程度の頻度で見られることが分かった.海水の同位体比が変わらないとすると,10℃近い水温の低下が起きたことになる.この沖縄海域の高いδ^<18>O値多発現象は,北大西洋において氷山が大規模に流出した時期(ボンドサイクル4),冬季モンスーンの活動の活発化した時期に一致する.このことから高いδ^<18>O値多発現象の発生メカニズムとしては以下のシナリオが想定される.すなわち,1,500年周期の太陽活動の低下に伴ない,強烈なブロッキング現象が発生し,その結果,冬季モンスーンを強化され,東シナ海陸棚において海水の低温化・塩分増加をもたらした.その後,この水塊は沖縄トラフの中深層へ沈み,東進し,沖縄の水深30mまでに達し,C. iejimensisのδ^<18>O値に記録されたのである.この解釈が正しいとすると,太陽活動の低下は日本本土のみならず沖縄海域までの気候変動に影響を及ぼす可能性がある.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A 5,000-year fossil record of larval shell morphology of submarine cave microshells.2009

    • 著者名/発表者名
      Ubukata, T., Kitaraura, A., Hiramoto M., Kase, T.
    • 雑誌名

      Evolutio 63

      ページ: 295-300

    • 査読あり
  • [学会発表] 過去7, 000年間の海底洞窟生微小二枚貝Cavditella iejimensisの酸素同位体比変化2009

    • 著者名/発表者名
      山本なぎさ, 村晃寿, 人野智久, 大森明利
    • 学会等名
      日本古生物学会第158回例会
    • 発表場所
      琉球大学
    • 年月日
      2009-01-31
  • [学会発表] 海底洞窟堆積物に基づく沖縄サンゴ礁の環境変動2009

    • 著者名/発表者名
      北村晃寿, 大森明利, 山本なぎさ, 豊福高志
    • 学会等名
      日本古生物学会第158回例会
    • 発表場所
      琉球大学
    • 年月日
      2009-01-31
  • [学会発表] 海底洞窟堆積物にみられる大型有孔虫の種組成の時代変化2008

    • 著者名/発表者名
      大森明利, 山本なぎさ, 北村晃寿
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      静岡市
    • 年月日
      2008-11-23
  • [学会発表] サンゴ礁域の海底洞窟生微小二枚貝の酸素同位体比から探る完新世 : の古水温変化2008

    • 著者名/発表者名
      山本なぎさ, 北村晃寿, 人野智久
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      静岡市
    • 年月日
      2008-11-23
  • [学会発表] サンゴ礁域の海底洞窟に関する地球科学的研究2008

    • 著者名/発表者名
      北村晃寿, 山本なぎさ, 大森明利, 森島唯
    • 学会等名
      0本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      静岡市
    • 年月日
      2008-11-23
  • [学会発表] 海底洞窟“大洞窟"における過去7, 000年間の洞窟性微小二枚貝群集の時空間分布の変遷.2008

    • 著者名/発表者名
      北村晃寿, 山本なぎさ, 大森明利
    • 学会等名
      日本地質学会
    • 発表場所
      秋田大学
    • 年月日
      2008-09-11
  • [学会発表] Combined scleroch ronological, oxygen isotope analysis of the large bivalve Glossocardia obesa in a submarine cave2008

    • 著者名/発表者名
      Kitamura A., Sakai S., Yamamoto N.
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2008-05-27
  • [備考]

    • URL

      http://homepage3.nifly.com/a-kitamura/indeox.html

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi