研究課題
古第三紀における沿岸システムの特徴を知るため、北九州市に分布する古第三系芦屋層群陣ノ原層の調査をおこなった。その結果、陣ノ原層は、一部に海底チャネルを埋積した土石流堆積物がみられるものの、大部分は陸棚-外浜システムで形成されたこと、そして、それらは周波の異なる相対的海水準変動に応答して形成されたコンポジット・シーケンスをなすことがわかった。さらに、この陣ノ原層にはThalassinoides suevicus、複数種のOphiomorpha類、Piscichnus waitemata、そしてRosselia socialis、といった生痕化石が産することがわかった。ただし、陣ノ原層に関する研究は、まだ十分なものではなく、来年度も継続していく必要がある。そのほかにも和歌山県白浜町の中新統白浜層の潮汐低地システムの生痕化石群を観察したほか、愛媛県西条市の現世潮汐低地堆積物中の生痕ファブリックの観察も行った。また、北海道十勝平野の更新統池田層群では、沿岸システム中のある堆積場に特徴的に産する未記載生痕化石についての詳しい情報を得ることが出来た。本研究に伴う最新の研究成果の一部は、4編の原著論文として公表したほか、8月にはカナダのUniversity of Calgaryで開催された9th International Ichnofabric Workshopで発表をおこない、9月にも日本地質学会第114年学術大会において発表するなど、6件の学会発表として公表された。なお、日本地質学会第114年学術大会での講演(演題:更新統下総層群に発達する海進期波食台-陸棚システムの古生態学)は優秀講演賞を授与された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
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