研究概要 |
平成19年度に続き、北海道東部白糠地域および厚岸地域に分布する根室層群の白亜紀/第三紀境界前後を主な対象として、古地磁気試料採取と地質調査を行った.前年度の結果とあわせ、地磁気極性反転層準の同定と対比をめざして、古地磁気測定と解析を行った.特に厚岸地域仙鳳趾層(上音Maastrichtian)の綿密な検討によって,複数の逆磁化層の存在が明らかとなった.これらは白亜紀後期の地磁気極性タイムスケールとの対比が可能である.同層最下位には、Chron C31rからC33rに対比される逆磁化層が存在することから、これまで議論の多かった北太平洋地域白亜系のCampanian/Maastrichtian境界(C/M境界)の問題解決の糸口となろう.これらの古地磁気層序学的検討と同時に、連携研究者(重田康成・国立科博)の協力の下に、大型化石層序学的検討も行った.北西太平洋上部白亜系で古地磁気層序と大型化石層序の双方が最も連続的なものは,南サハリンのブイコフ層上部〜クラスノヤルカ層である.この層序を基準として、根室層群を対比することにより、Masstrichtian階後期に関しては、北米Great Valley SequenceやWestern Interiorの上部白亜系やヨーロッパの模式層序との国際対比が可能となった.さらに、既存の大型化石層序や炭素同位体比層序を統合することにより、グローバルな上部白亜系層序確立の可能性が高まった.
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