研究概要 |
*ペルム紀化石、特にフズリナ化石の産出で汎世界的に有名な岐阜県大垣市赤坂石灰岩のフズリナ類を体系化したモノゲラフを取りまとめ、Review de Paleobiology誌に投稿、現在審査を受けている。詳しい野外地質調査と石灰岩岩石薄片約4,000枚をもとにした労作であり、大幅な修正が求められなければ、印刷ページは150くらいになると思われる。このモノグラフは交付申請書に掲げられている5つのキーワードを含み、環太平洋ジュラ紀付加体の石灰岩ブロックの起源・搬入・定置過程の考察に直結し、その研究進展に寄与するところが大きい。 *秋吉石灰岩ならびにその周縁相(常森層、別府層群)のフズリナの野外調査資料や岩石薄片はこの3年間にさらに山積し、近い将来、これらに関する総括的な研究成果を公表する目処がついた。また、これまで三畳系美祢層群に含められていた基底部の石灰岩礫岩や石灰岩ブロックはペルム系常森層に属することが判明し、砕屑粒子の組成から秋吉石灰岩周辺のペルム系砕屑岩相と三畳系の堆積環境の相違がこれまで以上に鮮明になった。 *南部北上テレーンのペルム系上八瀬層のペルム紀有孔虫化石の研究成果を公表した。フズリナ化石層序・年代・対比などで多くの新知見が得られた。南部北上テレーンの構造発達史を再構築するため、模式地の下部ペルム系坂本沢層と中部ペルム系叶倉層の層位関係の再検討が望まれる。 *愛媛県の三畳系田穂石灰岩の三畳紀中期洞窟堆積物、板取川の石炭系石灰岩ブロック、上川の遠洋性白亜系石灰岩ブロックの再調査を行った。 *平成19年度の沖縄本島に続き、奄美大島の秩父帯と四万十帯の石灰岩ブロックの調査とサンプリングを行った。奄美大島では、期待している三畳系石灰岩ブロックの発見には至っていない。四万十帯の石灰岩ブロックの年代は明らかにできなかった。
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