研究課題
本研究は、北太平洋中〜高緯度、低緯度赤道域および南大洋の3つの生物地理区で掘削された深海底コアの珪藻の分析により、浮遊性海生珪藻のCrucidenticula属、Denticulops is属およびNeodenticula属のダイナミックなグローバル進化過程を明らかにし、後期新生代における古気候変動との関係を解明することを目的とする。今年度は、東赤道太平洋のDSDP Hole 71と77Bの試料を組み合わせて2000-800万年前の年代範囲において分析を行い、種の出現・消滅年代・頻度の時間的変化を明らかにした。また、保存のよいコア試料を用いて光学および走査型顕微鏡による詳しい殻形態の解析を行い、分類学的検討を行った。その結果、赤道太平洋域では、Crucidenticula属についてはその先祖となる別属の種が見いだされ、この珪藻の仲間が1700-1600万年前の地球温暖期に出現繁栄したことが明らかになった。一方、Denticulopsis属は、Crucidenticula属と入れ替わるように、1400年以降の寒冷化期に高緯度域から赤道域に進出して、多様化したことが判明した。また、赤道域ではDenticulopsis属の消滅が、両極の高緯度域よりも100-200万年程度早かったことも本研究により明確になった。
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