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2009 年度 実績報告書

新生代後期における浮遊性珪藻類の進化過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19540498
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

柳沢 幸夫  独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (10358210)

キーワード地質学 / 古生物学 / 進化 / 珪藻 / 気候変動 / 植物プランクトン / 古海洋学
研究概要

この研究は、北太平洋中-高緯度、低緯度赤道域および南大洋の3つの生物地理区で掘削された深海底コアの珪藻化石を分析することにより、浮遊性海生珪藻のCrucidenticula属、Denticulopsis属およびNeodenticula属のグローバルな進化過程を明らかにし、後期新生代における古気候変動との関係を解明することを目的とした。
最終年度にあたる今年は、北太平洋中-高緯度域での分類学的・生層序学的分析を行った。具体的には深海底コアHole 887Cの再検討と栃木県那須烏山市の荒川層群と新潟県佐渡島の中山層の分析を実施した.また、3つの主要な生物地理区で得られた生層序データをコンパイルし、それぞれの種のグローバルな出現・消滅年代を明らかにした。さらに、形質データと生層序データに基づき系統樹を復元し、進化傾向、反復進化のパターン、地理的分布の拡大など、3属のダイナミックな進化過程を明らかにした.
研究の結果,Denticulopsis praedimorpha系列については,近縁のNitzschia属から独立に進化した可能性があり,この系列は独立の属としてDenticulopsis属から分離される可能性があることが判明した.また,Denticulopsis crassa系列に関しては,荒川層群でも形態変化系列を確認し,この進化系列が実在することが確実となった.
主要な生物地理区で得られた生層序データをコンパイルし,進化系統を復元した結果,まず,温暖珪藻であるCrucidenticula属については,3つの進化系列が存在し,それぞれ地球環境の温暖期に生息域を高緯度まで拡大して多様化したごとが明らかとなった.一方,Denticulopsis属は,北太平洋中-高緯度に起源を持ち,16Ma以降の寒冷化に伴って生息域を拡大し,最終的にはコスモポリタンな進化系列を生み出したことが判明した.またNeodenticula属は進化の初期段階である後期中新世には両極性を示すものの,鮮新世以降は南半球ではこの珪藻グループは絶滅し,北半球のみで進化し現在に至ることが明らかとなった.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 新潟県津川地域音無川ルートに分布する中部~上部中新統野村層の珪藻化石層序2010

    • 著者名/発表者名
      柳沢幸夫・平中宏典・黒川勝己
    • 雑誌名

      地質調査研究報告 61

      ページ: 147-160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 釧路海底谷壁から採取された泥岩試料の珪藻化石2010

    • 著者名/発表者名
      柳沢幸夫
    • 雑誌名

      地質調査研究報告 61

      ページ: 105-123

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新潟県中央部における後期中新世テフラ層の対比2009

    • 著者名/発表者名
      平中宏典・柳沢幸夫・黒川勝己
    • 雑誌名

      地質学雑誌 115

      ページ: 177-186

    • 査読あり
  • [学会発表] 海生絶滅珪藻Goniothecium rogersiiの異常な多産イベント2009

    • 著者名/発表者名
      柳沢幸夫
    • 学会等名
      日本珪藻学会第29回大会
    • 発表場所
      山形県山形市
    • 年月日
      2009-10-17

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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