研究室に既設のX線回折装置に付属の簡易小角散乱測定亜タッチメントを用いて、X線小角散乱測定をおこなった。飽和系、分散系それぞれに、試料容器を開発した。簡易小角ではX線がラインビームであるので、通常のポイントビームと異なり、補正手続きが必要で、そのコンピュータプログラムを開発した。解析は自作プログラムによりおこなった。 組織構造のメソスケールシミュレーションは、専用のメソ動力学プログラムを開発した。原子100個程度を1個のメス粒子とし、粘土分子内、分子間の相互作用に従い、差分方程式を用いて多体系の運動方程式を解いた。 X線小角散乱実験を実施し、解析手法を構築した。実験は、水に不飽和な系と水に分散系でおこなった。不飽和系では、相対湿度の上昇に伴って、構成粒子の次元から、楕円体から球状へ変化していることがわかった。分散系では円板状から、凝集しやすい系では楕円体となっていることがわかった。 1Onmから数千nmでのメソスケールのシミュレーション計算手法の開発をおこなった。原子100個程度を1個のメソ粒子とし、それをビーズ状に連ねたものを2次元のメソ粘土粒子とした。粒子間の相互作用は分子シミュレーションで用いている原子間相互作用モデルから計算されるものと調和的なものを設定した。相互作用パラメータと計算条件により、多様な粘土組織構造が生成されることがわかった。 実験観察とメソスケールシミュレーションから有効な粘土組織モデルが導出・提案できることがわかった。
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