研究概要 |
本年度は,実験から求めた各種鉱物及び岩石(片麻岩・塩基性岩・角閃岩)の電気伝導度測定値の総合的な解釈と定量解釈を行うための数値計算と岩石内電気伝導度モデル構築にむけての計算ルーチン作りを行った. 特に含水鉱物であるブルーサイトは脱水と見られる電気伝導度変化を示した.実験結果からは,脱水した水が少量であっても,電気伝導度変化への寄与が極めて大きいことが判明した.同様に,角閃岩の実験では900K以上で,電気伝導度が約0.001から0.1S/mまで変化することが判った.この実験結果からは,角閃岩に含まれる角閃石内部の水が脱水した可能性が高い.さらに脱水した水は鉱物イオンを含むため,高い電気伝導度を示す事も判明した.これらの実験から得られた貴重なデータをもとに,高電気伝導度鉱物と低電気伝導度鉱物を配列した岩石内電気伝導ネットワークモデルの構築に向けた計算ルーチンの開発を行った.この開発過程において,現実的な地殻岩石と乖離しない岩石・鉱物の定量化モデル構築の目途が立ち、電気伝導度構造と地震発生場の物理 を理解するために多くの知見を得られる予定である. 次年度は岩石内電気伝導度モデル構築をさらに進め,脱水による定量的解釈を深める予定である.
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