研究概要 |
中部地方領家帯花崗岩類のうち、北部の長野県駒ケ根地域に分布する神原トーナライト、天竜峡花商岩、市田花崗岩、太田切花崗岩ならびに愛知県幡豆地域の神原トーナライトについて、2007年5月18日から5月21日(3泊4日)、7月27日から7月29日(2泊3日)、10月7日から10月8日(1泊2日)、11月16日から11月18日(2泊3日)の間、野外調査ならびに試料採取を行った。採取した試料のすべてを、関西学院大学に設置の波長分散型蛍光エックス線分析装置により、主成分・微量成分、計24元素について、全岩化学組成分析を行った。その結果、太田切花崗岩は、同時期に活動した、類似した岩石(細粒両雲母花崗岩)である武節花崗岩の化学組成のトレンドとは異なる傾向を示すことが明らかとなった。さらに、岩石薄片の偏光顕微鏡観察から、太田切花崗岩について白雲母を用いた温度圧力計を適用できることが判明した。そこで、名古屋大学において電子プローブマイクロアナライザによる鉱物の化学組成分析を行った。現在、岩石熱力学ソフトウェアにより固結温度圧力を解析中である。 また、神原トーナライトについては、愛知県幡豆地域において、マグマ起源と考えられる初生的な緑れん石を発見し、神原トーナライトが分布する天龍、下山地域に比べて、幡豆地域のトーナライトが高い圧力条件下で固結したことを明らかにした。本件は、日本地質学会第114年学術大会(北海道大学)で発表した(柳本ほか,2007)。
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