研究課題
非晶質フッ化炭素誘電体膜(CF膜)異種構造の作り分けと積層を目指し、大分子量直鎖状分子C_8F_<18>を材料とするプラズマCVDによるCF膜堆積実験を行った。CF膜の構造を変える手段としてCF膜堆積時のプラズマ電力を変化させCF膜積層を試みたところ、低プラズマ電力で堆積したCF膜上に高プラズマ電力で1分程度の短時間、膜厚0.2μm以下でCF膜を堆積すると上層のCF膜が波状化し、その下に空隙が生じることが見出された。空隙の形成は計画の主目的の一つであるCF膜の誘電率低減につながるものと期待される。波状化の要因は下層CF膜の低耐熱性と上層CF膜の高耐熱性にあり、次のような説明が考えられる。低プラズマ電力では材料分子の解離が進行せず大分子のままCF膜が堆積され、鎖状分子間の側鎖結合が少なくなる。続く高プラズマ電力での堆積では解離が進行することにより分子間結合が密となり耐熱性の高いCF膜が形成される。上層CF膜堆積中、プラズマからの加熱により下層CF膜の結合が緩み上層CF膜と基板との接着性が失われると、上層CF膜が膨張しようとする際の応力の逃げ場として波状化が起こる。この説明は、上述の2層積層CF膜(波状化する前の状態)の上に遮蔽物を設置して再びプラズマCVDを行いプラズマからの熱だけを伝えた場合も波状化が起こったこと、また、ホットプレートによる加熱実験の結果、低プラズマ電力堆積CF膜の融点は250℃前後、高プラズマ電力堆積の融点は350℃前後と、高プラズマ電力で堆積したCF膜の方が耐熱性が高かったことに合致する。空隙をより微細に形成し均一化を図るため、上層のCF膜厚がより薄くなるよう高プラズマ電力での堆積時間を短くしたところ、波状構造の繰り返し周期をそれまでの2μm程度から500nm程度にまで縮めることができた。
すべて 2009 2008
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