1) ミー散乱理論より、種々の微粒子に対する散乱強度の散乱角依存性を計算するコードを開発した。そして、2角度散乱強度比より粒子の直径と密度を求める方法を得た。20nm-700nmの範囲でサイズを測定できる。この結果と実験結果より、アーク放電法で作られる炭素微粒子サイズのレーザーミー散乱測定から、微粒子の直径と密度を見積もることができた。無重力条件では、通常重力条件に比べて粒子サイズが0.4μm程度と大きく、無対流の効果が出ていた。アークプラズマから上方に向かい、微粒子が成長している。微粒子成長時間は4秒くらいで、その後は飽和している。ガス圧力依存性や放電電流と微粒子サイズ、密度の関係も得られた。2波長散乱の計算を行ったが、同様なサイズ範囲で分析が可能であった。しかし、仮に赤外線や紫外線を用いれば、より広い範囲でのサイズ測定は可能である。 2) 回転型遠心加速度発生機(筑波宇宙センター)を用いて、定常加重力条件でナノチューブを合成し、無重力条件と比較した。加重力条件では、アークスポットが安定し、放電状態が非常に安定となり放電電圧の変動が抑えられることが分かった。派生微粒子はアーク上方で安定な雲を作った。流体計算により、この部分で熱対流が上部のみで定常渦を作り、微粒子が閉じこまることが分かった。ナノチューブ合成率については、予想どおり、反応時間の減少により下った。しかし、定常渦内の微粒子中には高純度のナノチューブが含まれていた。その直径は1.3nm程度であった。
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