研究概要 |
近年、スフェロマック、球状トーラス(ST)や逆磁場ピンチプラズマ(RFP)など、自己組織化機能の強い高ベータ磁気流体プラズマのダイナミックな磁場構造形成は、太陽コロナの間欠的爆発的現象(フレアー)にみられる磁気リコネクション,粒子加速,衝撃波発生などと類似して、「高速の流れ」が支配する物理機構が内在していることが明らかにされてきている。そのため、現在、高ベータ磁気流体プラズマ研究は、一磁気流体モデルによる諸現象の理解ではなく、イオン流体と電子流体を分離して取り扱う2磁気流体モデルを取り入れた電磁流体理論に基づく解析が主流となりつつある。本研究では磁化同軸プラズマガンを用いた磁気ヘリシティ入射電流駆動法により、プラズマ中に高速イオン流を駆動しながら、電子流体ではなく、イオンの流れが強く関与する高ベータ磁気流体プラズマの自律的磁場構造形成について解明し、2磁気流体緩和物理について理解を深めることを目的としている。 兵庫県立大学球状トーラス装置(HIST)で生成されるSTプラズマの時間発展はヘリシティ電流駆動過程と抵抗減衰過程に区別される。マッハプローブによるイオン流と磁場の3方向成分の空間分布計測結果から、以下の点について明らかにした。トーラスプラズマの中心導体付近のオープン磁束上のプラズマコラム領域内では、駆動過程で電子とイオンが同じトロイダル方向(電流と逆方向)に駆動され、減衰過程では、イオン流の方向のみが反転する。 また、ダイナモプローブ(マッハプローブと磁気プローブの3軸複合プローブ)で計測したイオン流と磁場の揺動成分から算出したダイナモ電場は電流駆動に寄与している。さらに、電場と電位計測を行い、プラズマ電流と電場分布の時間発展とがよく相関していることがわかった。
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