回転プラズマにおける台風様構造の形成については、周方向の速度、径方向の速度について、実験で得られたポテンシャルプロファイルを使うことで、いわば現象論的な理論によって得ていた。今回、ポテンシャル構造を自己無道着に求めることに成功した。連続の式と運動方程式から、密度とポテンシャルの非線形関係を電子とイオンに対して求め、電気的中性条件から、ポテンシャルに対する非線形方程式を導出した。密度ホールの中心部の回転は異常EXBドリフトで、周辺部は通常のEXBドリフト、そして密度ホールの外側は線形応答で記述されるとして、それぞれの領域での微分方程式の解を連続的につないでポテンシャル構造を決めた。密度構造はポテンシャルが決まれば決まるようになっていて、こうして求められたポテンシャル構造と密度構造はともに実験値を極めてよく再現することがわかった。これから、ポテンシャル構造は、ローレンツカ、ポテンシャルカと遠心力によるバランスによって基本的に決まっていて、中心部ではローレンツカと遠心力、ホール周縁部ではローレンツカとポテンシャルカでバランスしており、領域によってバランスに寄与する力が異なって、それが異なるドリフトを支えていることになっていることが理解される。これはパラメータを変化させた時に現れる分岐現象ではなく、大域的構造の内部に異なる運動様式を抱えて定常状態を維持している点で、新しい構造形成といえよう。 径方向の流れは外部へ向かう流れと中心部に向かう流れに分かれており、この中心部に向かう流れの連続性から軸方向流れを評価せねばならないが、来年度はこのポテンシャル構造と密度構造を使って流れ場を計算し、実験値と比較して、理論の妥当性の評価を行う予定である。
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