研究課題/領域番号 |
19540527
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
服藤 憲司 立命館大学, 理工学部, 教授 (60442472)
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研究分担者 |
河村 雄行 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00126038)
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キーワード | プラズマ加工 / 計算物理 / 結晶工学 / 窒化ガリウム / 分子動力学 / ドライエッチング / 結晶欠陥 / イオンアシストエッチング |
研究概要 |
GaN結晶に対するドライエッチングの、古典的な分子動力学シミュレーションを実行した。まず、不活性ガスであるArのイオンを(0001)清浄結晶表面に30回連続的に入射させ、物理スパッタリング率のイオンエネルギー依存性、及びエッチング後の結晶欠陥の基礎データを収集した。N原子に対するスパッタリング率はGa原子に対するそれよりも大きい。Ga原子に対する閾値エネルギーは、250eV程度である。イオンエネルギーの増加とともに、表面凹凸は大きくなる。結晶中の各層毎のGa空孔欠陥の数は、N空孔欠陥の数とほぼ同じである。結晶内にはGaとNがペアになったショットキー欠陥が生じやすい。Gaは格子間原子と成り得る。Nは格子間原子としては結晶内に存在し得ず、表面上に押し出されて再結晶化するか、スパッタされる。 次に、反応性塩素ガスを用いたイオンアシストエッチングの素過程を調べた。結晶表面に、あらかじめ塩素原子を0.5分子層分付着させてから、Arイオンを入射させた。塩素の電荷は、Gaと塩素の予想反応生成物クラスターに対する量子化学計算を実行して決定した。物理スパッタリングの場合と比べて、化学反応が促進されるためGaに対するエッチング率が増加し、また、Arイオンが入射してから、Gaが表面から離脱するまでの時間は、10倍程度遅くなった。 GaN結晶を用いた光電子デバイスにおいては、特に活性層における点欠陥等の物理的ダメージに対する感受性が高い。本研究の実績は、GaN結晶のドライエッチング微細加工の基礎的な物理機構を、ミクロな観点から明らかにしたことを特色とする。すなわち、本研究は従来の実験データを説明し、新しい実験手法を提案するための基礎データを取得したという、学術的に高い価値がある。
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