この研究ではチャームクォークと反チャームクォークの束縛状態であるチャーモニウムがクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)相中で、それぞれが散乱状態としてバラバラになってしまう「チャーモニウム状態の消失温度」を有限温度格子QCD数値シミュレーションによって求める事を目的としている。これらチャーモニウムの消失温度は重イオン衝突実験でのQGP生成を示す重要なシグナルの一つである「J/ψ抑制」のシナリオを議論する上で必要となるパラメータである。主にクエンチ近似による計算により、2Tc程度の温度までチャーモニウムの束縛状態が持続することを示すデータを得た。
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