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2008 年度 実績報告書

水和により誘起される過酸化ラジカルの分子構造と反応性に関する分光研究

研究課題

研究課題/領域番号 19550006
研究機関東京大学

研究代表者

住吉 吉英  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (50291331)

キーワードラジカル / 分子間相互作用 / クラスター / マイクロ波分光
研究概要

ラジカル反応の詳細を理解する上では、ラジカルの分子間相互作用の詳細を知ることが不可欠である。そのための有力なアプローチのーつが、ラジカル錯体の分光学的研究である。昨年度までの研究で、大気化学反応や燃焼反応の重要な反応中間体であるOHラジカルやNOラジカルが希ガスと結合したラジカル錯体の分光研究を行い、それらの詳細な分子間相互作用ポテンシャル曲面の決定を行った。更に、閉殻分子から成る錯体には見られない特異な引力相互作用が存在する事を見出し、それがラジカルの不対電子の存在と密接に関連する可能性がある事を指摘した。これらのラジカル錯体について系統的に希ガスを変える事で、分子間相互作用にどのような変化が生じるかを調べる事は、ラジカルの分子間相互作用と不対電子との関連について、その詳細を理解する上で非常に重要である。昨年度のAr-NOのラジカル錯体の研究に引き続き、今年度は、希ガス原子をNeに変えたNe-NOの分光研究を行い、分子間相互作用ポテンシャルを決定した。実験に際しては、より広いマイクロ波帯において大きな入射パワーが得られるように、マイクロ波パワーアンプを購入した。NOラジカルの基底電子状態は2重に縮重しているが、希ガスと錯体を形成することによって対称性が低下し、この縮重が解ける。その様子は回転スペクトルのなかにパリティ分裂として現れる。Ne-NOのパリティ分裂はAr-NOのそれよりも小さい事が解った。これはArよりも分極率の小さなNeでは、NOラジカルとの相互作用がより小さいためであるとして解釈できる。更に、NeとNO間においても、Ar-NOに見られたものと同様の特異な引力相互作用が働いているがわかった。この結果は、これらの特異な引力相互作用が希ガスによらずNOラジカルの不対電子に由来することを裏付けるものである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Gas-phase spectroscopy of the 23Σ-X3Σ electronic transion of CCS2009

    • 著者名/発表者名
      Masakazu Nakajima
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 014302-1-014302-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fourier-transform microwave spectroscopy of the CCCCl radical2009

    • 著者名/発表者名
      Takashi Yoshikawa
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 094302-1-094302-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of the nuclear quadrupole interaction of Disu1lfur Dichloride, S2Cl22008

    • 著者名/発表者名
      Asao Mizoguchi
    • 雑誌名

      Journal of Molecular Spectroscopy 250

      ページ: 86-97

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Laser induced fluorescence spectroscopy of NC3O2008

    • 著者名/発表者名
      Takashi Yoshikawa
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 128

      ページ: 204308-1-204308-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 炭素鎖及び酸素鎖分子のフーリエ変換マイクロ波分光2009

    • 著者名/発表者名
      住吉吉英
    • 学会等名
      日本分光学会中国四国支部広島地区講演会2008〜星聞物質分光の最前線〜
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2009-01-21

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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