窒素レーザーを用いた蛍光寿命測定システムの製作とパルス励起光反応測定システムの開発を行った。 更に、Ru(001)表面上のCO吸着、水素吸着、メタノール解離過程に関して、開発中のモンテカルロシミュレーションプログラムの改良を行い、密度汎関数法計算の結果を組み込むプログラムに改良を行った。 表面設計した構造を決定する手段の開発のために、VanHoveらが開発したテンソルLEED法のプログラムを遺伝的アルゴリズムによる表面構造探索のアルゴリズムに組み込んだ自動解析プログラムの改良を引き続き行い、合理的な初期構造推定法の組み込みと、密度汎関数法による構造計算とのインターフェイスについて組み込みを行った。また、表面設計法の新規方法としてイオン液体を酸化物担体に固定化する研究・コバルト酸化物ナノ粒子の合成を進め、構造解析、触媒反応への適用を行なった。合成条件に応じてコバルト酸化物の単結晶ナノ粒子が立方体・切頂八面体・いぼ状構造を示すことを見いだした。これらについては、AFM測定を組み合わせて行うことで、切頂八面体が確かに、多面体構造を示しているという測定結果も得ることができた。これは今後の触媒反応への応用が期待できる。また、ニッケルシアン化物のナノ結晶の形状は数マイクロメートルの四角形プレートに垂直にプレートが成長した特徴的な構造をとっている。この反応はC-Cボンドを選択的に切断するという機構を含んでおり、非常に難しい化学反応である。しかし、過酸化水素水を用いてニッケル3価の状態を経由することにより成功した。この反応は新規化学反応機構としても興味深く、結晶成長機構(枝分かれ機構)の提案と併せて、論文として出版することを計画している。そのほかに平均粒径667±67nmの非常に整った球形のニッケルヒスチジンポリマーマイクロ粒子を合成し、元素分析・IR・EXAFS・XRDによりキャラクタリゼーションを行い、構造モデルを提案した。
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