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2008 年度 実績報告書

非対称二極小ポテンシャルに関するトンネル異性化

研究課題

研究課題/領域番号 19550009
研究機関東京農工大学

研究代表者

中田 宗隆  東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (40143367)

キーワード光反応 / トンネル異性化 / マトリックス単離 / 赤外分光法 / 分子内水素移動
研究概要

固体アルゴンの中に埋め込んだ6-ヒドロキシキノリンおよび7-ヒドロキシキノリンがどのような光反応を行うかについて,赤外分光法と量子化学計算によって研究した.観測した赤外吸収スペクトルと計算したスペクトルパターンを比較することによって,ヒドロキシキノリンの水酸基の水素原子が選択的にキノリン環の外側に向いていることがわかった.波長が約300nmの紫外線を試料に照射すると,これまでにまったく知られていなかった化学種のスペクトルを観測することができた.未知物質の一つは,水酸基の水素原子が脱離することによって生成するキノリノキシルラジカルであることがわかった.もう一つの未知物質は,水素分子が脱離して,そのあとで分子内の電子の移動が起こって生成するケテン化合物であることがわかった.生成したケテン化合物の構造は出発物質のヒドロキシキノリンの水酸基の水素原子の向きに依存することもわかった.7-ヒドロキシキノリンでは,さらに,脱離した水素原子が分子内でキノリン環の窒素原子に移動して結合し,ケト形に異性化することがわかった.この異性化はポテンシャルの障壁の高さから考えて,トンネル異性化である可能性が高いことがわかった.以上のように,反応物質,反応中間体,反応生成物の幾何学的構造を正確に決定することのできる今回の研究方法は,とくに光反応機構の詳細な解明に有効であることが明らかになった.今回の研究成果については,ヘルシンキで行われた国際会議で招待講演として発表し,また,国内では分子科学討論会で2件の発表を行った.現在,50ページにおよぶ学術論文として,投稿準備がほぼ完成している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 低温マトリックス単離赤外分光法による5-ヒドロキシキノリンおよび7-ヒドロキシキノリンの光反応機構2008

    • 著者名/発表者名
      中田宗隆
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-09-24
  • [学会発表] 低温マトリックス単離赤外分光法による6-ヒドロキシキノリンの光反応機構2008

    • 著者名/発表者名
      中田宗隆
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-09-24
  • [学会発表] Intramolecular hydrogen-atom migration and tunneling isomerization in low-temperature rare-gas matrices2008

    • 著者名/発表者名
      中田宗隆
    • 学会等名
      第7回 低温化学に関する国際会議
    • 発表場所
      ヘルシンキ
    • 年月日
      2008-08-26

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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