研究概要 |
・水素結合ポテンシャルの推定のため、-OH-O-型の分子内水素結合をもつ、7種の系について、H/D同位体シフト、2D-eQqを求めた。その結果、single well, low barrier double well, double wellの代表として、dibenzoilmethane(DBM),1-benzoyl-6-hydroxy1-6-phenylfluvene(Fulvene),benzoicacid dimer(BA dimer)選び、水素結合構造及びそのプロトンdynamicsの計測及び溶媒効果の研究に資することとした。同様に-NH-N-系においても、^<15>NH/^<15>ND同位体シフト、1J_<NH>等から、N,N'-tetramethyl 1,8-diaminonaphthalene cation(DMANH^+)を測定対象とした。 水素結合構造に対する溶媒効果の予備的結果:^<17>O,^<15>Nの同位体濃縮を行った試料について、種々の核磁気緩和時間測定などから、OH O...H)あるいは、NH(N...H)結合距離を見積もった。その結果、-OH.,O-系においては、極性溶媒中で、若干のOH結合距離の伸長がみられた。また溶媒効果は、水素結合距離の伸長に伴い大きくなる傾向が見られた。これらの構造変化に関しては、分子軌道計算による構造予測の結果と比較しつつ、さらに高濃度の濃縮度遺体の試料による実験的検証を行っている最中である。一方、DMANH^+においては、溶媒、あるいは対イオンにより、水素結合構造の大きな変形が観測された。これに関しては、現在、この変形が、溶媒と対イオンいずれとの相互作用によるかの検討を行っている。 プロトン移動測定の観測:fulveneに関する、ヘキサン、アセトニトリル中での^<17>O濃縮試料を用いた、種々の核磁気緩和時間の測定の組み合わせの結果、プロトン移動ダイナミックスの寄与が、^<17>O-1H磁気双極子-双極子相互作用揺らぎに反映されていることが示された。
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