分子組織体は界面活性分子が分子間相互作用により単分子膜状に吸着した単層膜を基本とし、それが膜間相互作用で自発的に積層した多重膜を成している。従って、エマルションベシクル、生体膜などの複雑な分子組織体の構造と機能の相関解明には、基本構造である液/液界面膜の分子レベル構造解析が不可欠である。本研究では、液/液界面ギブズ膜を対象に、ドメイン共存によるギブズ膜不均一構造の安定性に及ぼすドメイン線張力の効果解明を目的とし研究を展開した。 今年度は、ヘキサン/水界面におけるフルオロカーボンジオール(FC10diol)が形成するギブズ膜に対して以下の重要な知見を得た。 1) FC10diol分子はヘキサン/水界面で分子が自発的に積層した多重膜を形成し、2~3層の積層では分子が密充填しているものの、それ以上の積層ではヘキサン分子の貫入により緩やかなパッキングにある。 2) 界面で垂直配向するFCアルコール(FC120H)との混合系ギブズ膜では、バルク組成に依存して凝縮単分子膜、水平配向多重膜、および垂直配向多重膜が出現し、両成分の混和性が大きく異なる。 3) 凝縮単分子膜は、水平配向おとび垂直配向ドメインからなる不均一な状態である。 4) 水平配向多重膜はほぼFC10diol分子からなるものの、垂直配向多重膜では両成分が混合し、高さ方向に不均一で膜組成が異なるドメインが共存している。 この成果は、当該分野の一流学術誌に投稿・掲載された。
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