研究概要 |
今年度は20〜25μm(15〜12THz)におけるNO,H_2,HD,D_2からの遠赤外誘導放射光(far infrared stimulated emission)を検出することを試みた。NOの前期解離Rydberg状態である8pσ,π(v=0)状態の励起スペクトルを測定したところ、σ,πのうち前者のみが検出された。π状態は吸収の測定から既に回転輪郭がぼやけておりps以下の寿命を持つことがわかっている。一方、σ状態では線幅の増大は見られるものの回転線は分離されておりps程度の寿命を持つが、今回の測定は誘今年度は20〜25μm(15〜12THz)におけるNO,H_2,HD,D_2からの遠赤外誘導放射光(far infrared stimulated emission)を検出することを試みた。NOの前期解離Rydberg状態である8pσ,π(v=0)状態の励起スペクトルを測定したところ、σ,πのうち前者のみが検出された。π状態は吸収の測定から既に回転輪郭がぼやけておりps以下の寿命を持つことがわかっている。一方、σ状態では線幅の増大は見られるものの回転線は分離されておりps程度の寿命を持つが、今回の測定は誘導放射がps程度の寿命でも起こり得ることを示している。発光を分光したところ、以前に報告した8sσ(v=0)からの発光パターンとよく一致した。すなわち8pσ(v=0)からの初段誘導放射経路として8pσ(v=0)→8sσ(v=0)が起こっていることが予想される。この遷移に相当する波長は〜40μmであり、検出器の波長上限を超えている。ボロメーターを検出器とする測定系を組み、直接この誘導放射を検出することが次年度の課題である。また8pσ(v=0)から下位のsσ Rydberg状態、たとえば7sσ(v=0)6や6sσ(v=0)への誘導放射は観測されなかった。このことは誘導放射に黒体放射が関係していることを強く示唆している。極端紫外・可視二重共鳴励起によって生成する水素分子およびその同位体のRydberg状態からの誘導放射を観測することはできなかった。
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