分子の内殻電離により放出される荷電粒子計測について、角度分解型計測系における光電子光イオンの同時計測の効率を改善するため、信号処理系の準備を行った。既存のコインシデンス計測回路系を、PCベース計測器へ置き換え、タイミング計測モジュールを新規に購入した。そして、角度条件を変更についての自動計測化の準備を進めた。また、角度分解型光電子光イオンコインシデンス計測装置により、500eVまでの光電子についてバンド幅0.1eVの分解能で測定するための条件を、シミュレーションした。取り込み立体角を非常に小さく制限する必要があることがわかった。このため、高分解能測定と高効率測定を両立するための、別の手法の検討をシミュレーションにより開始した。これにより、光電子検出を多重化、あるいは、光イオン検出の運動量画像化により、目標としている検出効率を実現できる目処がついた。 高い運動エネルギー分解能と引き換えに、高い検出効率により比較的大きな運動エネルギー(50〜150eV)の光電子を計測するための条件を、コインシデンス運動量画像計測装置(CO-VIS)により確立し、基本的な小分子(N_2、CO、O_2、CO_2分子)について、運動エネルギー150eVまでの分子座標系内殻光電子角度分布を測定した。現在、理論計算グループの協力を得て、解析を進めている。また、この方法により、NO分子におけるMARPE現象というべき、原子間共鳴Auger過程について解析を進め、論文発表した。
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