研究概要 |
アズレニル基を配位子とする有機リン化合物の合成を行い、その構造特性ならびに反応特性について明らかにした。(1,3-ジクロロ-2-アズレニル)ジフェニルホスフィンと(1,3-ジブロモ-2-アズレニル)ジフェニルホスフィンを合成し、これらのリン原子を過酸化水素により酸化することで、高原子価状態のホスフィンオキシドへ誘導した。この酸化反応に伴い、顕著な呈色状態の変化(緑から青へ)が観測された。このことは、リンの酸化状態が変化することにより、アズレンのπ電子系に高度なπ分極が誘起されたことを示している。今後は、高度な呈色変化が観測されるように、分子設計を行う予定である。また、(1,3-ジブロモ-2-アズレニル)ジフェニルホスフィンは有機溶媒中で放置すると、予期せぬ脱ブロモ化反応を受け(1-ブロモ-2-アズレニル)ジフェニルホスフィンオキシドへと変化することを見出した。この知見は、2-置換アズレンの新規合成法として展開することができた。現在、この知見をもとに、2-置換アズレンの新規合成法の確立を行っている。
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