研究課題/領域番号 |
19550045
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
園田 高明 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (90108770)
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研究分担者 |
三島 正章 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (20037279)
小野 泰蔵 産業技術総合研究所, 中部センター計測フロンティア研究部門, ナノ標識計測技術研究グループ長 (10356735)
深谷 治彦 産業技術総合研究所, 中部センター計測フロンティア研究部門, 不均質性解析研究グループ主任研究員 (20357883)
脇坂 昭弘 産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 分子科学研究グループ長 (70358365)
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キーワード | 物理有機化学 / 有機フッ素化合物 / 気相酸性度 / 超強酸 / 負の超共役安定化効果 / 分子クラスター |
研究概要 |
既知および新規に合成した環状、非環状、および、かご状構造を有する種々の多フッ化炭化水素化合物(Rf-H)や多フッ化アルコール(Rf-OH)や含フッ素有機イミド酸((RfSO2)(Rf' SO2)NH)の気相酸性度をFT-ICR質量分析法を用いて測定し、ヘテロ原子を有する既知の無機酸や有機酸の気相酸性度と比較した。 また、B3LYP/6-311+G(d,p)レベルの密度汎関数法を用いた量子化学計算によってこれらの含フッ素化合物の気相酸性度の定量的予測を行った。その結果、ペルフルオロアダマンタン-1-オールはメタンスルホン酸に匹敵する強酸性を示し、トリス(ペルフルオロイソプロピル)メタノールは硫酸よりも強い酸性を示す超強酸であることが明らかとなった。また1-H-ペルフルオロアダマンタンの気相酸性度は硝酸に匹敵する酸性度を示すことが明らかとなった。フッ素系洗浄剤として工業的に広く使われているある種の:ハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物はプロトンを放出しやすい炭素酸としての物性や溶液中でHFを脱離しやすい特異な反応性を示すことが実験および計算結果から明らかとなった。ベルフルオロアダマンタン-1-オールのX線構造解析を試みたがアモルファス結晶しか得られず構造解析できなかった。多ウッ化炭素化合物の共役塩基である含フッ素有機陰イオン種の電子状態に関する計算化学的考察を行った結果、陰イオン中心元素(炭素および酸素)のβ位に位置する多数個の炭素一フッ素結合のみならずβ位の炭素一炭素結合による負の超共役安定化効果がこれらの化合物の特異な強酸性度と密接に関係していることが明らかとなった。水および極性有機溶媒中において含フッ素アルコールや含フッ素カルボン酸は通常のアルコールやカルボン酸とは異なった構造を有する分子クラスターを形成することが明らかとなった。
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