研究課題/領域番号 |
19550068
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
白上 努 宮崎大学, 工学部, 准教授 (60235744)
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研究分担者 |
保田 昌秀 宮崎大学, 工学部, 教授 (00174516)
松本 仁 宮崎大学, 工学部, 助教 (90363572)
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キーワード | アンチモンポルフィリン錯体 / 軸配位子 / カチオン交換性層状粘土 / 分子配向 / 光導波路 / 粘土ナノシート / 偏光 / 複合膜 |
研究概要 |
前年度の研究成果では、カチオン交換性層状粘土(スメクトンSA; SSA)の粘土ナノシート上に吸着したアンチモンポルフィリン錯体(SbTPP)において、ポルフィリン環の分子配向の角度を偏光導波路分光法によって正確に測定することに成功した。本年度の研究では、分子配向角度と軸配位子構造との関連性を一般化するために、SbTPPと同様に軸配位子を有するリンポルフィリン錯体(PTPP)のSSAへの吸着配向状態を検討した。軸配位子としてピリジニウムカチオンを持つPTPPでは、その配向角は40°となり、SbTPPの場合とほぼ同じ値になることがわかった。さらに軸配位子部位のカチオンの数、並びにポルフィリン環からの距離を変えたSbTPPおよびPTPP合わせて9種類の錯体を用いて、分子配向角度の測定を行った結果、40〜46°の範囲に収まることがわかった。このことは、軸配位子構造の変化は、それほど分子配向角度に影響を及ぼさないことを示している。しかし逆に言えば、軸配位子を持つ錯体であれば、粘土シート上に吸着した配向角度はほぼ40°に制御できることを示している。これまでポルフィリン系ではその配向角度が0°と70°の報告例しかないことを考慮すると、今回得られた結果は粘土科学の分野では意義深いと思われる。次に、SSAへの様々なタイプの吸着分子として、水溶性SbTPPおよびSSA吸着により還元電位が変化するアミノ軸配位型SbTPPの合成にも成功し、その諸物性を明らかにすることができた。また、カチオン部位を導入したボラン-ジピリン錯体とSbTPPをSSA上へ共吸着させることで、両者の間で効率の良い励起エネルギー移動反応が進行することも明らかにした。
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